絵本
私が10代の頃、舞妓さんに憧れていて、「京都に行って舞妓になる!」と言ったら、慌てたれんちゃんが「ちちち小さい頃なりたかった職業は何?」と聞くので、「あー、絵本作家になりたかったなー。」と言ったら、「あれいは絵がうまいし、絵本作家になりな!絶対なれる!」とあんまり言うので、えーそうかなー、描いてみよかなー、などと言ううちに京都の話は流れていきました。
改めて絵本ってなんだ?と思った私は、おじいさんが本を売ってる古本屋に行き、ある本と出会ったのでした。ランドルフ・コールデコットの全集、その本は衝撃でした。美しい色、見たことのない印刷の仕方、余白の絶妙な取り方、文のないページの絵の語りかけ方、かわいらしくはない人や動物達、そしてにおいまでも。それまで目にしてきた絵本の在り方とは違ったその本を見てから、私は進むべき方向がはっきり見えたのです。
今でもショヴォー、モンヴェル、茂田井武などの遠い昔に描かれた絵本に心を奪われ続けています。これらの絵本は大人になってから出会っていますが、強い空想癖のあった小さな頃の私に見せてあげたかったな。頭んなかいっぱい、色の違ったファンタジーが繰り広がったろうな。
そして谷川俊太郎さんと堀内誠一さんのマザーグースを小さい頃読んでいなかったら、私は出来上がっていなかったろう、と思います。人の心にずっと残る、血肉化してしまう程に。そんな絵本を描かなくてはいけないな。